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信用の器 フラスコ

投資とは全てギャンブルである

夢とお金の専門家、シナジーブレインの安田 修です。

投資の入門書を読むと、大体「きちんと勉強して、長期的なスタンスで取り組めば、投資はギャンブルではありません」などと書いてあります。入門書にいきなり嘘が書いてあるのはどうなのかな、と思ったので、ここでそれを否定しておきます。

投機と投資

投機とは「短期的な価格変動の目論見から、利ざやを得ようとする行為」と定義されており、一般的なギャンブル(バクチ)のイメージとぴったり一致します。特に、バイナリーオプションやFxなどで根拠もなく直感的に取引している一部の人は、丁半博打をしているのと一緒と言われても仕方ないでしょう。

ただ、一方で「長期的、理論的」に投資を行えばそれはギャンブルではないのか。私は、どんな方法を取ったとしても、投資とは本質的にギャンブルだと考えています。株価や金利、為替の動きが正確に予測できない(しても当たらない)以上、その値動きにベットする行為は全て、ギャンブルでしかあり得ません。

短期の投資と長期の投資

「長期投資は安全である。過去20年間、インデックスに投資し続けていたとしたら何パーセント儲かっていたことになる」などと喧伝する人達がいます。一見正しいように見えますが、これも間違っています。バブルの絶頂期に投資を開始してしまえば、その後の期間は20年であろうが30年であろうが負けてしまいます。

100年くらい持ち続ければいつかはまた大バブルが発生して、勝つこともあるかもしれませんが、ケインズが言うように「長期的には、我々はみんな死んでいる」んです。資金と時間が無限に使えるとして、勝つまでやめなければ負けないと言っているだけで、それでは意味が無いですよね。

短期の投資は明確にギャンブルですが、長期の投資は期間を長くとったギャンブルです。結局は、サイコロの目がどちらに転がるかで勝負が決まります。

テクニカル分析とファンダメンタルズ分析

「企業の価値を分析し、過小評価されているバリュー株に投資をすれば、それはギャンブルではないだろう」という声もありますが、これも残念ながら違います。チャートの動きを見て法則を導き出し、売り買いをするテクニカル分析は明らかにギャンブルですが、企業価値を分析するファンダメンタルズ分析も、同じです。

ここで言う企業の価値とは何か。企業が将来生み出すキャッシュフローを現在価値に割り引いたもののことです。参考としてその企業が持つ純資産を評価したり、同業他社の株価と比較したりしますが、基本的にはこのDCF(ディスカウンテッド・キャッシュフロー)法で企業の価値は決まります。

だから株価は一意に決まるかというとそんなことはなくて、この将来生み出すキャッシュフローや、現在価値に割り引く割引率で投資家の主観が入ります。今ではなく将来の話ですから。そんなことを市場参加者がああでもないこうでもないと考えた結果が今の株価です。ですから、それが割安であるというのも、主観です

仮に割安であったとして、それが「適性株価」に戻るかどうかという部分が、結局はギャンブルです。10年間、「割安」に放置されている銘柄なんて、ざらにありますから。バリュー投資の第一人者であるウォーレン・バフェットは、極めて優れたギャンブラーであるというに過ぎません。

素人の投資とプロの投資

プロの投資はギャンブルではないのか。そんなこともありません。今や情報量はプロと素人の間にそこまで大きな開きはありません(丁寧に分析してくれるアナリストがいる分、若干プロが有利ですが)。スキルを持ったプロがしっかりと分析して、分散投資をして、それでも負ける時は負けます。

ただ機関投資家などのプロは、一度の勝負に全てを賭けることがありません。何度負けても、トータルでは「説明が付く」レベルに落ち着くよう、組織として緻密なリスク管理をしています。つまり、プロの投資家は、プロのギャンブラーなのです

手数料が安いからギャンブルではないのか

他に考えられる反論は、「ギャンブルは胴元が数十パーセントも取るが、投資は手数料がせいぜい数ベーシス(1ベーシスは0.01%)で、株なら配当が数パーセント付くのだからゼロサムゲームだ。だからギャンブルではない」というものでしょう。簡単です。手数料がゼロだったとしても、ギャンブルはギャンブルです。

麻雀を雀荘で遊ぶのか、自宅で遊ぶのかの違いだけです。運にベットし、負けたらお金を失うモノは全てギャンブルです。配当自体が、会社の成長にベットした不確実なものであることを忘れてはいけません。

ギャンブルも投資も、必勝法はただ一つ

投資にも必勝法はあります。これもギャンブルと共通です。「いかさま」しかありません。インサイダー取引ですね。株価が上がるニュース、下がるニュースを発表前に知って、先回りして売り買いするしかない。もちろん、犯罪ですから見つかれば捕まります。こんなところも、ギャンブルに似ていますね。

ギャンブラーに失礼だ

そんなわけで、投資とはギャンブルです。そもそもギャンブラーが、運任せで適当にゲームをしているという発想そのものが、彼らに対して失礼です。プロのギャンブラーは緻密に計算し、複雑な確率論に基づきリスクヘッジをして、極めて知的な勝負をしています。それで、勝ち続けて生活をしている人もいる。

優れた投資家になるということは、優れたギャンブラーになるということです。投資がギャンブルだから眉をひそめるというのは、ギャンブラーに対するいわれのない蔑視ではないでしょうか。それでは、また。

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