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コーチングとは何で「ない」か

夢とお金の専門家、シナジーブレインの安田 修です。

「コーチングって何なの?」と聞かれることが多いのですが、私自身も完璧な答えはまだ持っていません。1回体験してもらうのが一番なのですが、アプローチとしては、コーチングが何で「ある」かを考える際には、何で「ない」かを考えた方が近道のように思います。

1.コーチングは、ティーチングではありません。

コーチングという言葉を聞いて多くの人が思い浮かべる「コーチ」のイメージは、技術を指導してくれるスポーツコーチでしょう。一流のスポーツコーチは我々が言うコーチングに近い指導方法を取りますが、一般的なスポーツコーチがやっているのは、ティーチングです。コーチングとティーチングは似てはいますが、根本的に別のものです。

ティーチングは答えを「与える」のに対して、コーチングは答えを「引き出す」ところにその最大の違いがあります。コーチングの対象は、自発的に考えて、答えを導き出せるとコーチが信じられる人です。「大人」と言っても良いでしょう。ティーチングの対象は、それができない「子ども」ということになりますね。

人間としてある一定のレベルに達する前の段階のクライアントに対しては、コーチングよりもティーチングが効果的です。サラリーマンで言えば、入社したばかりの新入社員に「答えはあなたの中にある。何をしたら良いか、考えて提案してごらん」と言っても、かわいそうな新人さんはただおろおろするばかりでしょう。

逆に、入社10年も経って仕事を覚えた人に対して、細かなところまで全て指示を出し、報告させると(こういう上司は実際には多いのですが)、その人は「自分が信頼されていない」と感じ、やる気をなくしてしまうでしょう。一人前のサラリーマンやプロスポーツ選手には、コーチングのアプローチは有効なのです。最近では、大企業の中でもコーチングを採用するところが増えていますね。

2.コーチングは、カウンセリング(セラピー)ではありません。

この両者の一番大きな違いは、コーチングは現在と未来にスポットライトを当てるのに対し、カウンセリングは過去にスポットライトを当てるというところでしょう。コーチングは自発的な目標を持っているクライアントの目標達成をサポートしますが、カウンセリングは問題を抱えたクライアントの問題解消をサポートします

本来カウンセリングを受けるべきクライアントがコーチングを受ける、というケースはありますが、カウンセリングが必要なクライアントがコーチングを受けても、コーチングが効果を発揮することはありません。自分で目標設定をできない心理状態では、難しいということだと思います。

プロのコーチとして活動していくのであれば、信頼できるカウンセラーと知り合いになり、緩やかな提携をしておく必要があります。メンタルな障害はコーチングでは治せないのです。

3.コーチングは、コンサルティングではありません。

これは、コーチ&コンサルタントの私が言うのも変なのですが、コーチングとコンサルティングは、似て非なるものです。どこが似ているかというと、どちらも1対1で話をして、答えを導き出すところです。しかし、そのプロセスが全く異なります。

ひとことで言うと、コンサルティングは答えを与えるのに対して、コーチングは答えを引き出します。答えに辿り着くまでの主導権を、コンサルティングはコンサルタントが持っていますが、コーチングではクライアントが持っています。クライアントの内面から、答えが出てくると信じて傾聴し、質問するのがコーチのアプローチです。

コンサルタントは過去・知識・技術指向であり、コーチは現在・未来・マインド指向であるとも言えるでしょう。もちろん、コーチにも技術は必要ですが、それ以上にクライアントとの信頼関係や自己基盤(人間性、と言っても良いでしょう)が重要になります。

また、クライアントにとって問題となっている領域の専門知識は、コンサルタントは持っている必要がありますが、コーチには必要ありません。専門知識の存在は、時としてコーチングの妨げにすらなります。コーチが、つい答えを与えてしまいたくなってしまうのです。

分類すると、こうなります

ということで、纏めとしてやや強引に4象限に分類すると、

「結果・教える」 :ティーチング

「原因・教える」 :コンサルティング

「結果・引き出す」:コーチング

「原因・引き出す」:カウンセリング

という感じでしょうか。ここで重要なのは、コーチングとコンサルティングが全く反対側の象限にあるということです。うまくいっていない原因を突き止め、それを教えるのがコンサルティングであるのに対し、胸躍る結果(未来)を引き出すのがコーチングです。見事なまでの補完関係にあるわけです。

経営者や起業家が抱いている悩みにコーチングでアプローチし、信頼関係を得てからコンサルティングに展開できれば、ワンストップで理想的な問題解決ができると考えます。もっと言うと、問題を解決する方法は、実はお悩みを抱えているご本人の中に、既にあるのではないでしょうか。

なので、コーチングとコンサルティングは全く違うアプローチのようでありながら実は大変相性が良く、私が両方の技能を持っていることで、手助けできる経営者や起業家の方の対象はとても広くなると確信しています。それでは、また。