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信用の器 フラスコ

時間を有効に使いたければ「スキマ時間」を活かすな

夢とお金の専門家、シナジーブレインの安田 修です。

私が起業をしてサラリーマン時代と一番変わったのは、時間に対する考え方かもしれません。決められた時間働いていれば内容に関わらず給料が貰え、だらだらと居残れば残業代という追加報酬を貰うことができるという「異常な」状態から、「収入を生む時間とは何か」を真剣に考えるという「当たり前」の世界に、飛び込んだわけですから。

大きな石と小さな石と砂の話

時間管理と言えば、この話でしょう。誰が言い出したのかはわかりませんが、大きな石と小さな石と細かい砂があって、これを容器の中に入れて下さいと。最初に砂、小さな石、最後に大きな石という順番で入れると大きな石は入りません。大きな石から入れると、スキマに小さな石や砂が入り込んで、見事に容器に収まると。

学生が尋ねます。「先生、この話の教訓は、人は工夫次第でもっとたくさんのタスクがこなせる、ということでしょうか?」と。先生は答えて曰く「いや、そうではない。あなたの人生にとって大切なことを、あなたのスケジュール帳に先に入れなさいということだ」と。

私はこの話が好きですし、正しいと思います。ただ多くの人は、この話に出てくる学生さんのような考え方をしているように感じます。つまり、細切れの時間を有効に使って、電車で移動中に本を読むとか、喫茶店でパソコンを広げて資料を作るのが、効率的な仕事の進め方であると。私が今回疑問を持ったのは、そこです。

トップギアに入るには纏まった時間が必要

本を読むにも資料を作るにも、スキマ時間は向いていません。特に5分とか10分という短い時間でそういう作業をすると、トップギアに入る前に終わってしまうでしょう。下手したら、今までやった分を振り返るだけで終わったり。頭脳労働は時間とともに加速するので、フルスピードに至るまでには一定の時間が必要です。

ちなみに、ここでは新幹線での移動のような、1時間以上纏まった時間が取れるケースは対象にしていません。これはスキマというより、纏まった時間ですから。そういう時は張り切って、纏まった仕事をすれば良いのです。問題としているのは、山の手線の座席で膝の上のパソコンと格闘をしている「意識の高い」人のことです。

それはいくらなんでも、修正点をメモっておくなりして、後でちゃんと直した方が良いと思うんです。電車が着いたらすぐに顧客先でプレゼンだというのであれば、スケジュール管理が根本的に間違っています。そもそも電車や喫茶店で開くような、機密性の低い文章なのそれとも思いますが、これは本稿とは別の問題ですね。

纏まったサイズの空き時間を作る

時間を有効に使うということは、前述の意識の高い人のように「追い込まれた状態で何とかさばく」ということではなくて、「追い込まれないようにスケジュールを管理する」ということなのだと思います。スキマ時間を活かすのは気持ちが良いのかもしれませんが、全く効率的ではありません。何も生み出していない。

最初から、大きなタスクに対して纏まった時間を確保すれば良いだけの話です。そのために、何を犠牲にするかを考えるのが時間管理だと私は思います。犠牲にするのは、時には「心の余裕」だったりします。逆説的ですが、できるだけ「スキマ時間を作らない」ことが大切です。

例えば、人と会って話をするアポを5件入れようと思ったら、何となく月曜に2件・水曜に1件・金曜に2件という入れ方をする人が多いと思いますが、これは大きな間違いです。ベストの入れ方は「月曜に5件」です。金曜でも構いませんが、できれば週の端っこに、とにかく纏めることです。

人に会うにはそれに適した気持ちの持ちようがあり、資料を作る際のテンションとは全く別のものです。工場と同じで「切替時間」が必要なんです。誰かに会う15分前に、集中して資料を作ることは難しいはずです。少なくとも私はできません。逆もしかり。であれば、そういう同じ種類の「作業」は纏めるべきです。

優れたアイディアが出る条件

ちょっと視点を変えます。これはもしかしたら私だけなのかもしれませんが、優れたアイディアが出るのは、適度に忙しいときではありません。「合宿」のように纏まった時間を取って考え抜いたときか、逆にすごく追い込まれていて余裕の無いときに、良いアイディアが浮かびます。

試験前に部屋の掃除がしたくなるのと同じで、追い込まれたときにはそこから逃避しようとして、脳は面白いことを考えたがるみたいです。ああもう今はそれどころではないのに、と思ってとりあえずフセンに書き付けておいたアイディアが、宝物だったりします。だから、メリハリを付けるメリットが大きいのです。

スキマ時間を活かすより、纏まった時間をいかに作るか

ということで、細切れ時間を使ってタスクをこなすのって、自己満足なんじゃないですか?っていうことです。それが効率的だとはとても、思えないんですよね。スキマ時間を有効に使えとか、誰が言い出したんでしょうね。それよりは、もっと積極的にスケジュールをコントロールして、纏まった時間を確保すべきです。

自分にはスケジュールをコントロールする権限がないという人は、その状況をどうやったら変えられるのか、それこそスキマ時間に考えてみて下さい。ちょこちょこと資料を直している場合ではないかもしれませんよ。あなたにとって大きな石とは、一体何を指すのでしょうか?それでは、また。

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