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信用の器 フラスコ

「暇になる恐怖」と闘う

夢とお金の専門家、シナジーブレインの安田 修です。

起業をしたからには、背水の陣で死ぬほど働くのだろうと思われているのかもしれませんが、やりようによっては案外、暇にもなり得ます。むしろある程度の余裕は持った方が良いことは頭ではわかっているのですが、暇になる時間は、実は恐ろしく感じるものなのですというお話。

労働集約的な仕事であるコンサルタント

コンサルタントは労働集約的な仕事です。私の場合、人生計画というやや特殊な事業も持っているのでややこしいのですが、話を簡単にするためにここでは、仮にコンサルやコーチで起業をした場合、ということにしましょう。コンサルは基本的には働けば働いた分だけ、収入が増えるという性質を持ちます。

コンサルの価格に「適正な水準」というものは存在しませんので、月5万円と言えばそうなりますし、月50万円で契約しても詐欺ではありません。そして、安くすればするほど契約は取りやすくなります。実績が十分ではない駆け出しのコンサルの場合、安くても良いから「枠を埋めて」しまいたいという衝動はあります。

ただ、対応できる会社数には限りがあるので、例えば月5万円で10社の契約を取ってしまうと、それで凄く忙しい状態になります。他の仕事をする余裕はありませんし、提供する商品の付加価値を高めたり、全く新しいものを開発することは困難になりますし、新たな契約を取るための営業も手が回らないでしょう。

時間単価はコンサルの生命線

私は時間当たりの単価はコンサルタントの生命線だと思っています。安い単価で大量に仕事を取ってしまうと、どうしてもサービスレベルを犠牲にせざるを得なくなります。5万円なら5万円なりの仕事をすれば良いという発想になってしまうでしょう。そうすると、1年経っても自分の価値は5万円のままです。

弊社のコンサルは月15万円を堅持する(高い分には構いませんが)と決めており、当面4社としか契約しません。7月から本格的に営業を開始しましたが、やはり単価が高めなので、ようやく1社、2社と決まり始めました。サービス内容を理解して頂けて、相性も良いと判断した経営者に絞っていることもあります。

5万円で10社だと月の収入は50万円ですが、15万円で4社だと60万円で、こっちの方が高いんですよね。そして、15万円のサービスは5万円のサービスの3倍「大変」かというと、決してそんなことはありません。聞くところによるとむしろ、単価が低い契約の方がコンサルは無茶を言われる傾向にあるようです。

なので、コンサルは例え駆け出しであっても、時間単価には徹底的に拘るべきなんですよ。それがサービスレベルを高めるための時間的余裕を生み出し、次の展開、例えば契約を5件・6件と増やしたり、単価を上げたりという余力を生み出すわけです。

「お金になる仕事」をする安心感

なのですが、ここで問題が出てきます。この契約の枠が埋まらない時間を耐えることが非常に苦しいということです。やはり起業をした以上は常に「食べていけるのか」という不安がありますから、単価が安くてもとりあえず忙しくしていれば安心します。余計なことを考えなくて済むわけですね。

起業をしている以上、売上が立たない間は「収入ゼロ」ではなくて「マイナス」です。事務所の費用や交通費、交際費に図書費、何より自分への給料や社会保険で手元のキャッシュがメラメラと音を立てて燃えるのです。「このままあと何ヶ月すると、破綻するな」という試算を何度もしてみたりします。これは怖いですよ。

どんなに戦略的なことを考えていても、手元の現金が尽きれば事業は継続できませんから、「だったらバイトでも何でも、している方がマシ」と言って本当にアルバイトのようなことをする起業家もいます。そこまでいかなくても、単価の低い仕事を受けてとりあえず、「その日」を少しでも遠ざけたいと思うものです。

最後は理性と感情の闘いになる

ここからは理性と感情(恐怖)との闘いです。単価が低い仕事を受けるのは、緩慢な自殺行為です。確かに「その日」は遠ざかりますが、可能性は高まってしまいます。ぐっと耐えて戦略を練り、単価の高い仕事にこだわった方が事業を軌道に乗せるには近道であることを、仮にもコンサルですから頭ではわかるはずです。

でも、怖いんです。そうやってぐるぐるぐるぐる回っている。暇だと色んなことを考えますしね。ただまあ、クライアントの経営者がそれで悩んでいたら、ノータイムで「単価の高い仕事にこだわるべきです」とアドバイスをするのですから、自分がそこで負けたらそこまでのコンサルだということですよね(笑)。

とまあそんなわけで、私は自らのプランに従い、単価の低い仕事は勇気を持って断り続けている結果、下手をすると本当に少し暇になるかもしれないというところまで来ています。ちょっとやりすぎたかなと。しかし、ここまで全ては予定通り。恐怖は若干感じつつも、順調に来ています。それでは、また。

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