一人社長には冷酷な「経営者」になる時間が必要
フラスコ代表、安田です。現在、お盆で人がいないことを利用して「一人合宿」をしています。カフェや自宅にこもって、ひたすらノートと向かい合ってビジョンや戦略を考えるのです。これ、少なくとも一人社長には絶対に必要な時間だと思うんですよね。
一人社長の日常
一人社長というのは正式な用語なのかはわかりませんが、つまりは従業員を雇っていない社長のことです。フラスコは10万人のコミュニティプラットフォームを標榜していますが、従業員はいません。
共同代表やコーチといったパートナーシップはありますが、雇用はしていないんです。唯一、妻にアルバイト料を支払って手伝ってもらっているのがもっとも雇用に近い形ですが、会社の形式としては基本的にはほぼ私一人でやっています。
何しろ一人なので、会社の戦略やシステム投資などの仕事もありますし、こうしてブログやメルマガで情報発信をするのも大切な仕事です。交流会に出たりして営業もしないといけません。講座も担当すれば説明会にセミナーにと八面六臂の大活躍です。
一人社長と個人事業主の違い
ちなみに「一人社長と個人事業主って何が違うの？」と疑問を持った方もいらっしゃると思いますが、結論として作業レベルでは全く違いがありません。法人として登記をしているのが一人社長、していないのが個人事業主です。
起業をした当初は妻が知人に、私のことを「脱サラして個人事業主になった」と説明してまわっていたので、「会社を辞めて社長になった。従業員は誰もいないけどねww」と説明するように訂正してもらったこともありました。
もっと言えば、個人事業主でも従業員を雇うことは可能です。社長なのに従業員が誰もいない人もいれば（たくさんいます）、個人事業主でも何人も従業員を抱えていることもあります。違いは登記しているかどうかだけです。
作業者としてはサボリーマン
なのでこの話は個人事業主の方にも当てはまるのですが、前述の感じであれもこれも自分でやっていると、すぐに目の前の作業に追われるようになってきます。そして、作業者的な満足感に包まれてしまうこともあります。
たとえば、交流会にいくつか出たら「今月は仕事したな」という気分になったり、アポが埋まると頑張っていると錯覚したりです。これ、もうサラリーマンモードなんですよね。提供する価値ではなく、汗をかくことが気持ちよくなってしまっています。
そしてもっと問題なのは、そういう作業者モードに入ると、普通に手を抜いてサボったりするんですよ。営業を減らしてカフェでのんびりしたり、昼間からビールを飲んだり。私も作業者としてはかなりのサボリーマンなので、ふと気がつくとサボっています。
上司がいないのも困りもの
会社に勤めていれば上司がいるので、あまりにあからさまなサボりはできません。報告する義務がありますから、やりすぎるとバレますからね。でも独立してしまうと上司はいません。もちろんそれは最高の気分なのですが、自らを律する上ではかなり厳しい環境です。
起業をするということは、言われたことをまじめにこつこつ繰り返すのが好きではないはずです。世界の不完全な点を捉えて、効率を追求して世の中を変えたい、という考え方をする人が多いでしょう。人にもよると思いますが、私は完全にそうです。
だからサラリーマンとしても効率を追求するので、結果さえ出したらあとは遊んでおこうと考えがちです。職場では常に「安田はまだ余力がある」という最低の評価（笑）を受けていましたからね。まじめなんですけど、ミッションに意味を感じなかったらそうなります。つくづく、向いてないなあと思います。
自分の中で役割を分ける「一人合宿」
では一人合宿とは何なのかというと、作業者である日常を離れて、冷酷な経営者になる時間なのだと考えています。半ば妄想も交えながら大きなビジョンや戦略を描くときには、それを実現する作業者の苦労は考慮しません。
「これ言うのは簡単だけど、実現するのは大変だよな。かわいそうに・・・ってやるのも自分だった！まじか！」みたいな感じです。でもサラリーマンモードのままで戦略を描いてしまうと、自分がしんどくない程度のつまらないものになってしまうんですよね。
ある意味で無責任に、第三者的な視点でビジョンや戦略を描き、実行計画まで落としてそれを作業者としての自分に渡す、それが一人合宿です。受け取った方は文句を言いたくなるのですが、それを作ったのも自分なのだから仕方ありません。
そうやってストレッチされた、必死にならないと達成できない高い目標に対して、精一杯取り組む日常がまた待っているわけです。しばらくするとやっぱり手を抜こうとするので、定期的に合宿が必要になります。いたちごっこですね。
でもそうでもしないと、際限なくサボってなんとなく昨日と同じような今日を過ごしてしまうのですが、これ、私だけなのでしょうか。一人合宿もせずにモチベーションを高く保っている人がいるとしたら、不思議なくらいです。
