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起業家はサラリーマンよりも偉いのか

夢とお金の専門家、シナジーブレインの安田 修です。

今の国内には「もっと多くの人を起業させなければならない」という論調、更には「起業家はサラリーマンよりも偉い」というような風潮がありますよね。私自身が起業家であり、起業支援をライフワークにしてもいるので、この点について少し考えてみました。

世の中の風潮と起業家の実態

世の有識者と呼ばれる人達が、大まじめに「起業家を育てるにはどうしたらいいだろうか」という議論をしています。そう言う私自身、過去記事『教育とはサラリーマンを大量生産するシステムである』で、革新的な企業を生み出せる若者は学校教育では育てられないですよという趣旨のことを書きました。

これは「学校教育で起業家を大量生産しろ」という主張ではなく、 起業家の資質を持った子供も受け入れて欲しいということと、起業家を支援するには他の仕組みが必要ですよね、ということを言っているに過ぎません。そもそも、サラリーマンに向いている人が全員起業したら、世の中が成り立たなくなりますので。

戦後は起業家が50%以上だったなどというデータを持ってくる方もいらっしゃいますが、当時は焼け野原からの復興なのだから当たり前です。むしろ、高度成長期前後からは日本は政策的にサラリーマンを優遇し、育ててきました。だから優秀な人材がサラリーマンとして働き続けることは今でも、合理的な選択肢です。

世の中は何となく、起業することが素晴らしいのではないかと思い始めているように感じますが、GoogleやAmazon、Appleといったレベルの会社を作ろうとする志の高い「スタートアップ」はともかく、自営業や従業員を雇わない小さな起業(「スモールビジネス」)を礼賛する理由は特に無いように私には思えます。

この風潮はどこから来ているのか

そもそも、なぜ起業家を増やさないといけないのでしょうか。2014年版中小企業白書によると、起業を増やす意義とは(太線筆者)、

「これまで地域経済を支えてきた中小企業・小規模事業者が市場から退出することで、地域の活力が失われることが懸念されている。こうした状況にお いて、新たな地域経済の担い手を創出するべく、起業を促進することの意義は大きい。さらに、起業は産業の新陳代謝を促進し、我が国経済を活性化する役割を持つ。」

とあります。これは、まあそうだろうと思います。しかし、更に読み進んでいくと、

「特に、日本再興戦略が掲げる「開業率の倍増」を実現するためには、フルタイムで働く被雇用者の起業を促進するだけではとても不可能である。様々な事情でフルタイムでは働いていない者や非正規雇用の者に対しても焦点を当てた起業を促進すべきではないか。具体的には、女 性や若者、シニアに光を当て、彼らのリスクを最小限に抑えた「小さな起業」を促進することが、「開業率の倍増」ひいては「起業大国」に向けた道であると考える。」

あれあれという感じです。『日本再興戦略の「数字合わせ」に小さな起業を促進すると書いています。雇用の確保や地域経済の担い手創出、そして何よりも産業の新陳代謝が目的であったはずの起業促進が、数合わせになっている。これで、いかにも志の低い補助金・助成金が乱立している理由が腹に落ちました。

そして『「日本再興戦略」改訂2015』では女性・シニアの活躍という表現はありますが「起業」という言葉は消えているように見えます(『2015年版中小企業白書も同様)ので、今後は猫も杓子もとにかく起業すべしという風潮は、少しずつ引いていくのかもしれません。それで良い、と私は思います。

シナジーブレインが起業支援をする目的

誤解なきように書いておきますと、我々はスタートアップだけではなくて、スモールビジネスも支援します。シニアの方や、女性・若者の起業ももちろん支援の対象です。起業をすることで、それが合っている人(私自身もそうです)にとっては、生きがいに溢れた素晴らしい人生を送ることができる可能性が高いからです。

中でも、私がもっとも支援をしたい人は30〜40代くらいのサラリーマンです。能力が高く、会社からは頼りにされているのですが、どうしてもサラリーマンとして生きていくことに苦痛を感じている「サラリーマン不適合障害」の人です。起業をする力はあるのに、家族を抱え、耐えるしかないと思い込んでいる人です。

世の中を変えるようなスタートアップであれば最高ですが、まずはスモールビジネスでの独立でも構いません。会社の中で本人から見れば「飼い殺し」にされている状態から、起業による自由を得ることで少なくともその人は現状よりも幸せになれるでしょうし、世の中のためにもなる可能性が高いと考えます。

例えば、その人がコンサルタントとして独立するのであれば、優秀な人材を渇望する中小企業の経営者も幸せになるでしょう。そうして起業をした人が新たな、もしかしたら画期的なビジネスを生み出すことで、結果としては日本経済や世界経済に貢献することになるのかもしれません。

私のやりたいことはあくまで「全ての人が自分の頭で考え、自由で好奇心にあふれる生き方ができる世界を創る」ことです。サラリーマンをしていて幸せな人はそのままで良いですし、起業をするのはそれが合わない人が幸せになるための手段であり、それが偉いことだとは全く思いません。それでは、また。

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