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信用の器 フラスコ

ネットワークビジネスでは人は救えない

長期的な視点であなたの夢を目標に変えて実現する、人生計画マスターコーチの安田修です。

人生計画フォーラムではネットワークビジネス(MLM=マルチレベルマーケティング)は禁止です。販売員の募集だけでなく、商品の販売も禁止です。取り組んでいる方からは「偏見だ!」と言われることもありますが、私なりに信念を持ってそうさせて頂いています。今回はその話をしましょうか。

ネットワークビジネスは違法ではない

まず、ネットワークビジネスあるいはMLM(本稿ではネットワークビジネスで統一)は違法ではありません。ねずみ講(無限連鎖講)は違法ですが、こちらは法律の範囲内をギリギリについた合法的な仕組みです。『ネットワークビジネスは違法か、それとも素晴らしいビジネスか』という記事も、あわせてご参照ください。

単に合法であるだけではなく、とても良くできた仕組みだと思います。私がフォーラムの仕組みを作る際にも、ネットワークビジネスの仕組みを勉強したくらいです。なので、「知り尽くした」とまでは言いませんが、決して良く知らないままにイメージだけで否定しているわけではないんです。その上で断言しますが、これで人は救えません。

誰にとって「良くできた仕組み」か

ネットワークビジネスはマーケティングの手法として、とても良くできた仕組みです。モノやサービスはコミュニティで売れていくようになるというのは私もそう思いますから、人間関係に流通を乗せて、関係者それぞれに金銭的なインセンティブを持たせるというのは、発想としてすごく正しいんです。成功している企業も多数あります。

でもそれは、あくまで企業にとって良くできた仕組みだということです。あるいはネットワークを構築する創始者とその取り巻きくらいのレベルにある人にとっては、です。残念ながら末端の販売員にとっては、良い仕組みとは言えないんです。あるレベルより先の末端は、仕組み上は単なる都合の良い消費者として考えられていますからね。

ネットワークビジネスで成功できる人

繰り返しますが、「商品が良い」「理念が好き」「成功者に誘われた」という感じの理由で参加した人は、仕組み上はみなさん熱心な消費者です。好きな商品を使いながら、知り合いに声をかけるだけで収入も得られる、なんていうお気軽な仕組みではないんです。成功できる人はごく一握り、ピラミッドの上層部にいる人だけです。

その人たちは大変な労力を費やし、人間関係を構築し、かつそれらの全てをビジネスに活かすという覚悟を持ってやっています。やや踏み込んでいうと、自分が成功するためには下のレベルの人には夢だけ見ていて貰えば良い、結果として騙すことになっても仕方ないという腹の括り方をしています。繰り返しますが、そういう仕組みなんです。

構造として、弱者は搾取される

上位のプレイヤーは、その仕組みを熟知しています。「この人は成功できないな」と思いながらも「あなたにもできますよ、簡単に収入が得られます」という説明をして組織を作っているんです。いくらこのことを説いても、ネットワークビジネスに取り組んでいる人は「自分は違う、自分の組織は違う」と聞く耳を持ってはくれません。

自分でビジネスを組み立てることができない人が、ネットワークビジネスに引き寄せられていきます。しかし残念ですが、世の中には楽して儲かる仕組みなんてありません。交流会に出まくることを努力と思っているかもしれませんが、短期間の接触でモノやサービスを売るという発想が怠惰なのであり、それは正しい努力ではないんです。

人間関係を小銭に変えるな

纏めると、ネットワークビジネスでは組織を立ち上げるレベルの人が考え抜いて努力をして、弱者から搾取するという腹の括り方をして人生の全てを賭けて取り組んでいる一方で、他の参加者は全員、夢を見させられた単なる消費者です。扱う商品が何であるかはあまり問題ではありません。どうしてもやるなら、自分で立ち上げてください。

やはりネットワークビジネスに関する文章を書くと、全否定になってしまいます。もちろんきちんとした人もいますから、たまにお話は聞くようにしていますが、いつも最後には「いつまでもそれを続けていてはダメですよ」という意見をしてしまいます。何を言っても届かないので、お会いしない方が良いかとも思いながらも、たまには。

なぜフォーラムではネットワークビジネスを禁じているかというと、人間関係を小銭に変えてしまう残念な人が多くて空気が淀むということと、もう一つはある意味で「非常に相性が良いから」です。許すと、あっという間に広がるんです。人間関係を時間をかけて育てる、という発想はとても近いものがあるからです。それを小銭に変えるか、信用という形のままで人生を豊かにするために使うかは、とても大切なことなので良く考えてください。それでは、また。