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【経営者インタビュー】株式会社アンテレクト藤井孝一様(前編)

夢とお金の専門家、シナジーブレインの安田 修です。

普段とは少し趣を変えて、私、安田による経営者インタビューを掲載します。今回は「週末起業フォーラム」「銀座コーチングスクール」などの事業を展開する株式会社アンテレクトの代表取締役社長にして著名な著者でもある藤井孝一氏に、「アンテレクトの長期ビジョン」についてお話をお伺いしてきました。

非常に有意義かつ共感できる内容のお話を密度濃く聞くことができましたので、全3回に分けてお届けします。今回はその第1回です。

アンテレクトの事業と長期ビジョン

シナジーブレイン安田(以下Y):今回は「アンテレクトの長期ビジョン」と称しまして2020年までの御社のビジョンを中心に、お話をお伺いできればと思います。まずは、御社の事業について簡潔に教えて下さい。

アンテレクト藤井社長(以下F):アンテレクトは一言で言えば社会人教育の会社です。自立や成長を目指すビジネスパーソンを教育で後押しする会社、というのがコンセプトです。創業してから、間もなく10周年になります。

事業内容としては主には、以下が3つの柱です。
①週末起業
起業を目指すビジネスパーソン・サラリーマンのお手伝いをすること
②銀座コーチングスクール
コミュニケーションスキルの習得をサポートしていくこと
③その他
ビジネスパーソン向けセミナーや読書会、企業家向けのコミュニティーを提供するなど

Y:それぞれの売上の割合はどのくらいですか。

F:今はコーチングの割合がとても大きいです。一つの会社なので線引きの問題はありますが、一番はコーチングです。次が週末起業、最後にその他になります。

Y:コーチングの方が週末起業よりも大きくなっているんですね。今は何拠点くらいあるんですか?

F;コーチングと週末起業を合わせて、51拠点です。これを2020年までに200拠点にしたいということです。最初の年なのでちょっと頑張って、今期100くらいにしようと考えています。

Y:かなりのハイペースですね。

F:確かにハイペースですが、ただ200拠点を作れば良いということではなく、それぞれの拠点が満足のいく成果を得ていただかないと意味がないと考えています。それぞれの拠点が「やって良かった」と思えるよう、売上をあげて成功していただかないといけないということです。

Y:地域分散のイメージはありますか。

F:あります。やはり、東京・大阪・名古屋が多くなります。北海道とか九州、北陸などにも拠点がありますが、東海と比べると手薄です。東北などは拠点が無いため、やりたい方には是非、手を挙げて頂きたいと思っています。

Y:私は北海道出身なので、北海道でしたら少し興味はありますが(笑)。

F:北海道は力を入れています。頑張っていますが、まだまだご協力者が必要ですので力を貸してください。

『水道哲学』を教育で実現する

Y:200拠点を、そもそもなぜ目指すのかを聞かせて頂けますか。

F:少し、突拍子もない話ですが、松下幸之助さんの水道哲学はご存知だと思います。

Y:ひねると当たり前に水が出る、というやつですよね?

F:私はそれを教育でやりたいと考えています。ビジネス教育は、東京都心の一極集中の傾向が強いのですが、それを日本全国で受けられるようにしたいと思っています。

もちろん、e-ラーニングという方法がありますが、それだけでは不十分です。e-ラーニングはノウハウを学ぶには適していますが、学びのコミュニティは作りにくいと考えています。学習は、単に情報を受け取るだけでは不十分です。自分が学んだことについて、他の人と話し合ったり、議論したり、教え合ったりすることではじめて定着します。

実際、私たちがずっとやってきたことは大学でいうとゼミのようなことで、講師は必要最低限の情報を教えて、後はファシリテイター役に徹するというスタンスを貫いてきました。そのインフラが全国に欲しいと考えています。

Y:水道と同じように、ですね。

F:eラーニングは大きい会社でいくらでもやるところはあると思うので、そういったところと同じことをするのではなくて、例えばそのコンテンツで学んだ人達が、互いにそれについて議論を交わすための場、インフラが全国にできたら良いと思っています。

Y:コーチングも起業・独立という軸でやっているのでしょうか。

F:私たちは、サラリーマンの自立を教育でお手伝いする会社です。ひとたび組織に就職した人でも、組織に依存したり、ぶら下がったりして終わること以外の道として、組織から飛び出すという選択肢があってもいいと思うのです。

Y:凄く共感します。

F:起業に憧れはありながら、変な先入観があって始めから選択肢から外してしまっている人が多いので、それを教育というサポートで背中を押してあげる。それを実現するのが私たちのミッションだと思っています。
それを2020年までには全国でやっていけるようになりたいと思っています。これは、eラーニングだけでは限界があると思います。コンテンツの一方通行では、どうしても「良い話を聞いた」で終わってしまうからです。たとえば、本も著者の一方通行になりがちなメディアですが「読んで終わり」という人が多いですよね。だから、たとえば、独立の本をたくさん読み続けているのに、一向に独立しないという人がいますよね。

Y:いわゆる、ノウハウコレクターですね。

F:eラーニングでも同じ事が起きる可能性があります。特に、起業や独立のように、行動を伴うことは、誰かが背中を押してあげないとダメだと思います。それを私たち自身がやるのでなく、私たちから学んだ仲間や先輩が背中を押してあげるというのが理想です。偉い先生が上からいくら教え諭しても、結局「彼らのようにはなれないな」という風になってしまって、自分ごととして考えられない。それが、これまでの起業教育の限界だと思います。

コーチングも、一般的には「職場で生かせるコミュニケーションスキル」という言い方をされています。しかし私たちがやりたいのは、プロコーチの育成なのです。つまり、コーチングも一つの起業ネタと考えているのです。コーチングという技術を学んでプロのコーチになって、組織を飛び出して欲しい。これが私たちの思いです。

だから、当校もプロコーチ育成の学校としてスタートしました。ただ、事業をやっていく中で他のコーチングスクールが撤退したこともあり、組織の中で使えるコミニュケーションスキルとして学ぶ人も当校に非常に多く来るようになっています。ただ、私たちの想いは、あくまでもプロコーチとしてやっていって貰いたいと思っています。

Y:そうなんですね。

F:私たちは、組織から飛び立つことをお勧めしている立場なので、組織の中で上司として部下とのコミュニケーションをスムーズにというのは本来の趣旨とは矛盾しているのです。そういう意味ではコンサルタント養成講座も同じ思いで開催しています。

独立を希望される方に、起業ネタの一つとしてコンサルタントという仕事を提案し、その具体的な実践方法をお教えしています。目指していただきたいのは、独立です。他にも、起業ネタになりそうなものであれば、ネットビジネス、貿易・ライター・不動産など、どんどん提案していきたいですし、講座もスタートさせたいと思っています。実際、それらを少しずつ始めています。

次回は明日配信です。「自社を大きくすることの自家撞着」「起業家を組織の中に閉じ込めるな」お楽しみに!―