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「儲かりそうな業界」は儲からない 〜大航海時代と裁定〜

人生計画であなたの夢を目標に変えて実現する、シナジーブレインの安田修です。

先日、とある人から「これから起業をするなら、何をしたら良いと思いますか?」と聞かれました。初めてお会いした方だったこともあり、「何でも良いんじゃないですか?」と突き放して答えたところ、すごく不服そうな顔をされてしまいましたが、ちょっとまじめに考えてみましょうか。結論は変わらないと思いますけど。

質問の背景

あらかじめお断りしておくと、この質問をされたのはコンサルでもコーチングでも何でもない場面です。初めてお会いする方だったので、何に強みがあるかとか、どんな人生を送ってきたのかなどの情報が一切ない段階での質問でした。一般論として「何をやったら儲かりますかね」というニュアンスだったと思って下さい。

「これからはインターネットが儲かる」くらいの結論を求められたと理解したのですが、いきなり結論を言いますけど、そんなのあるはずないですよ。強いて言えば「AIかロボット、もしくは再生医療」ですかね。高校生から聞かれたら、こう答えるかもしれませんね。質問した人は大人だったので、そうは答えませんでした。

さすがの私も、今からAIについて勉強を始める気にはならないですからね。でももしかしたら、今からでも勉強を始めた方が良いのかもしれません。近い将来、遅くともシンギュラリティを迎える2045年以降は人間の仕事はイノベーションとコミュニケーションしか残らないですからね。

まあ、そんなニュアンスではなくて「誰でもできて儲かりそうなこと、何かないですかね」という感じだったんですよ。なので私の答えも、「何でも良いんじゃないですか。在庫とか人を抱えない方が良いとは思いますけど」という少しぞんざいな言い方になってしまいました。

大航海時代の話

いきなり中世の話をしますけど、光栄のゲームで『大航海時代』という名作があるのですが、ご存知でしょうか。船団を率いて世界を旅し、最終的には国家を救ったりするんです。その過程では交易をして財産を増やすんですけど、どの航路が一番儲かるかとか考えたり、都市に投資をしたりと頭を使いますし、面白いんです。

例えば、嵐に怯えながらもなんとか太平洋を横断できるくらいの実力になると、ヨーロッパでガラス玉を大量に仕入れて運び、南米で金やトマトと替えるだけで大儲けできるんですよ。そこまで遠くに行かなくても、イスタンブールとロンドンくらいの距離でも工夫次第で十分に利益が出ます。地域によって、物価が違うんですね。

今はそんなこと、ありませんよね。フランス産のワインが、日本国内でもびっくりするくらい安く飲めたりします。これ、運送コストや税金が昔より安くなったこともありますけど、何より大きな原因は、物価の情報が世界中に行き渡ったことによるんですよ。「正しい値段」をみんなが知っているから、安くなるんです。

裁定取引とは

そして今度はいきなり投資の話をしますけど、裁定取引っていうのがあります。ちょっとかっこ良く横文字で言えばアービトラージなんて言ったりもしますけど、さっきの大航海時代のゲームでプレイヤーがやってたのは、まさに裁定取引なんですね。ガラス玉と金の値段が地域によって異なることを利用したぼろい商売です。

手数料やリスク以上に理論から外れたところで値段がとどまっていたら、右から買って左に売れば利益が出ることになります。そういうチャンスは誰かが気付いて裁定取引を行いますから、そうすると値段が調整されてそういうチャンスは消えます。みんなが正しい値段を知っていたら(完全情報)、裁定の機会はなくなります。

現代はインターネットが普及した限りなく完全情報に近い世界ですから、「安く買って高く売る」なんてことが限りなく難しくなってきます。せどりや転売というのも一種の裁定取引ですが、すごく儲かるならみんなが始めるので、だんだん儲からなくなりますよね。最終的には利益が限りなくゼロに近づきます。

「儲かる業界」なんてない

このように、仮に「儲かる業界」があったとして、それが誰でもできることだとしたら、あっという間に多くの人が参入してその業界のうまみは消えます。冒頭に挙げたAIだって、これから最高の頭脳がこぞって参入するので、参加者が全員儲かる、なんてことはありません。かつてのインターネットも同じですよね。

かく言う私も、「サラリーマン向けの商売なんて儲からない」「コミュニティなんてだめだよ」「人生計画なんてうまくいくはずがない」など散々言われてきました。ですが、「儲かる」と言われている経営者やスモールビジネス向けの商売、コンサルやプロダクトローンチなどに参入した人々がどうなっているでしょうか。

そこは血みどろのレッドオーシャンです。確かにニーズは大きいかもしれませんが、その分だけ参入者は多く、過酷な競争がおこなわれています。もちろんニーズが全くないところではどうにもなりませんが、「儲からないと言われている」くらいで諦めてしまうのは、あまりにも短絡的だと言えるでしょう。

起業において大切なのは

つまり、どこに参入するかは実はあまり大きな問題ではありません。やってみて「全くニーズがない」と思ったら方向転換も必要ですが、そうではないならむしろ、一般的には「儲からない」と言われているところにこそチャンスがあるかもしれない、と私は思います。投資で言う、「過小評価されている」ということです。

まあこれは投資の世界でも極めて難しいことであり、普通はどの業界が過小評価されているかはわかりません。とは言え、これから参入するなら「過熱している」業界だけは避けた方が良いのかもしれません。ですが私はその「割安感」を探ることよりもむしろ大切なのは、どこであってもそこでうまくやれるかだと思います。

楽に勝てる業界を探すのではなくて、情熱を燃やし続けられる、強みのある業界に参入して、そこで勝つ。誰よりも継続し、工夫し、正しい努力を積み重ねて良いポジションを取り、そして諦めないということです。そういう意味で、結局は参入する業界は「何でも良い」んです。それでは、また。