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信用の器 フラスコ

将来起業するなら、どの会社に入るべきか

夢とお金の専門家、シナジーブレインの安田 修です。

私は大学を卒業したら、まずは新卒で就職をすべきだと主張しています。では、いざ就活を控えた大学生に面と向かって「どの会社に入ったら良いですか?」と聞かれた場合、どう回答をしたものだろうとふと考えました。

ベンチャーか大企業か

これは私の意見ははっきりしています。入れるのなら、大企業に入りましょう。ベンチャー企業人事の売り文句として「大企業だと仕事ができるようになるまで10年かかる。うちなら即戦力として、若いうちから纏まった仕事を任せるから成長できるよ!」というものがありますが、これは実は説得力がありません。

これ、「人を育てる余裕が無い」ということを言い換えているだけです。学生の時は早く一人前になりたくて焦っているので、こう言われると効くのですが、その時はこう聞き返しましょう。「それでは、ベテランの社員はどういう仕事をしているのですか」と(注:実際の面接では質問に質問で返してはいけません)。

22歳の新入社員が大活躍している会社は、30歳・40歳の社員はより活躍しているのでしょうか。まあベンチャーなのでまだベテランの社員はいないのでしょうけれども、要するに新入社員と大差ない、若手の社員しかいない会社なんですよ。手本になるような相手が社長しかいない、なんてこともままあります。

で、壮絶に忙しくて残業代も払われず、人の入れ替わりが激しかったりします。だからこそ、入ったばかりの人に大事な仕事を纏まったロットで任せる必要があるわけです。で、5年経っても10年経っても、同じようなレベルの仕事をやっていたりします。これは、爆発的に企業が成長すれば別ですが。

そこにいくと、大企業は「腐っても鯛」です。10年は大袈裟ですが、2〜3年は戦力にならないことを覚悟して採用しています。人を育てるという基本姿勢があるんですね。私は15年いましたが、それでもまだ、自分の成長を感じるだけの大きな仕事がごろごろしていました。

大企業に入ってからベンチャーに転職することは可能ですが、その逆は極めて困難です。就職活動はまじめにやって、入れるならば最初は大企業に入りましょう。

国内か外資か、それともいっそ海外か

これも難しいですが、まずは国内企業ではないでしょうか。新卒を取って育てるという懐の深さ(奇特な)を持っているのは、やはり国内の大企業が一番です。そこで社会人としての基礎をきっちり作って、外資に転職するのはありでしょう。そもそも中途採用しかしていない、という外資も多いですしね。

私が魅力を感じるのは、海外での就職ですね。起業をすると決めているのであれば、発展途上国かシリコンバレーあたりで仕事をしてみるのも良いかなと思います。ただ、これもやはりせっかくの新卒特権を放棄してまでやることかな、という疑問はあります。海外の大学で学んでいたのであれば、それも良いかもしれません。

仮に私が海外の大学で学んだとしても、新卒では日本の商社に入るかな。外資系や海外での就職は、次のステップとして考えるかもしれません。それほど、日本に軸足を置くなら新卒特権は活かすべきだと考えているのです。

メーカーか商社か、金融機関かコンサルか

業種は、専門知識や技術を持っているのであればそれを磨けるところに行きましょう。私を含め、特殊技術が無い文系学生であれば、商社や金融・コンサルという選択肢はあります。やはり、それらの業種は幅広く世界を見ることができますから。もちろんメーカーでも、勉強になることはたくさんあります。

大切なのは業種よりも、そこで何を得るかでしょうね。で、入ったら「どうせ起業するし」という気持ちで仕事の手を抜いてはいけません。貪欲に、できるだけ良質な、多くの経験をすべく全力を尽くしましょう。辞める時は、幹部候補として会社から心から惜しまれて辞められるようになりましょう。

業界分析・企業分析をどこまでするか

私は金融機関で財務をやっていたので、業界分析や企業分析(財務分析を含む)は本業でした。その経験とスキルを踏まえて言わせてもらえば、就活での業界分析・企業分析は「それ自体にほとんど意味が無い」と思います。

これから伸びる業界や会社をぴたりと当てるなんて、不可能ですからね。財務内容を見て、「ROEが高いですね」とか言っても、だから何なのと思います。潰れる会社を見抜くなんてことはプロでも難しいのに、学生にできるはずもないですしね。まあ面接での話題作りにやっても良いですけど、本質的な意味はありません。

それよりは、自己分析をしっかりやっておいた方が良いでしょう。あなたがやりたいこと、何をしている時に楽しさや幸せを感じるか、得意なことは何か。そういうことを徹底的に掘り下げておけば、自ずとやるべきことは見えてきます。どの会社に入るのかというのは、実は案外重要ではないと、私は考えています。それでは、また。