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インフレの時代にはサラリーマンの「老後のリスク」が高すぎる

フラスコ代表、安田です。3年くらい前に「老後資金2000万円問題」というのがバズりました(?)が、私自身はほとんど興味がありませんでした。なんでそんなことで騒いでいるんだろう、っていう感じで。でもこれ、サラリーマン家庭にとっては切実な問題なんですよね。

貯金と年金はインフレに弱い

現役時代まじめにコツコツ働いて、ある程度の貯金ができた。あとは年金で、贅沢ではなくてもそれなりに豊かな老後を過ごしたい。多かれ少なかれ、会社員の老後というのはこんなイメージでしょう。長いこと頑張ってきたので、これくらいは許されても良いと思うのですが、でもこれ、だいぶ危ういんですよね。

老後のリスクには医療費の問題などいろいろありますが、ここ30年くらいは考えなくても良かった「新しい」リスクとして、インフレがあります。「貯金と年金」という構え方だと、このインフレが直撃してしまいます。特に貯金は、インフレした分だけ直撃で価値が減ってしまいます。ただでさえ、あと何年生きるかわからない中で貯金を取り崩していくのは怖いものですが、さらに物価が上がるとなるとその不安は大きいでしょう。

年金の方は「物価が上がれば年金支給額も増える」とお考えの方もいるかもしれません。確かに年金は賃金・物価の上昇率に連動して調整されることとなっていますが、タイムラグがある上に「マクロ経済スライド」という仕組みが入っているので、物価が上がった分がそのまま支給額が増えるわけではありません。

サラリーマンには選択肢がほとんどない

私が「恐ろしい」と思い、実際に会社を辞める原因の一つとなったのは、サラリーマンで定年を迎えたあとの選択肢がほとんどないことです。役員まで出世できるとか、運よく出向にでもなればまだしもですが、大半の人にはそんなことは起こらず、シンプルに「失業」します。

再雇用があったとして、年収が大幅ダウンした上に「役に立たないおじいさん」みたいなポジションに置かれたりして、見ていてもかなりしんどかったのです。選ばなければ日雇いのアルバイトのような働き方はあるのかもしれませんが、やはり精神的に辛いし、それもいつまでもできるという感じもしなかった。

運良く世の中が安定しているタイミングに老後を迎え、そのまま寿命まで逃げ切れれば良いのですが、何か変化があったときになす術がない。物価が上がるとか、AIなどの影響で働き方が変わるとか。何もできずただ、運が良いことを祈るしかない。これが本当に、怖かったんですよね。

資産運用でリスクヘッジするには

インフレのリスクを減らすための数少ない打ち手としては、貯金ではなくて株や不動産などで資産運用をしておくということがあります。インフレ分(名目分)は株価や不動産価格も上昇するはずなので、最低限のヘッジにはなるはずです。できれば外貨にも分散させておくと「日本経済沈没」リスクにも対応できるのでより良いでしょう。

ただやはり、投資分を少しずつ取り崩して生活するということになれば、それはそれでかなり怖い状態です。急激に下落する局面もあるし、老後の資金という意味では価格が大きく下がったまま寿命を迎えるということもあり得ます。いつかはまた上がるはずですが「長期的にはみんな死んでいる」というケインズの名言の通りですね。

なので、貯金と年金で生活していける人が、余剰資金を株などのリスク資産で運用しておければまあ安心かなという感じです。しかしそこまで盤石になるには、一体いくらあれば良いのか・・・ということですね。

「悠々自適」にも認知症のリスクが

ちょっと違う話にはなりますが、仮に盤石と自分で思えるような資産を築くことができたとして、憧れだった「悠々自適な老後」を送ってしまうのは、どうなのかなという疑問もあります。よほど打ち込める趣味があって、それを楽しめれば良いのですが、ただひたすら仕事を頑張ってきた人の老後は、なかなかそうはなりません。

朝起きてカフェに行き、本を読んだり散歩をしたりする。まさに悠々自適ではありますが、こんな生活は脳には良くありませんよね。あっという間に認知症になってしまいそうです。家族との関係も良好なら良いのですが、仕事に没頭してきたサラリーマンの老後は、そんなリスクもあったりします。まあちょっと違う話ですが。

一番安全なのは稼ぎ続けること

それはともかく、会社を辞めるに至った私のお金に関する結論としては「老後のお金の不安を解消するには、いつまでも稼ぎ続けられるようになるしかない」ということです。お金が入ってくる仕組みを持つとベストではありますが、いつまでも頭を使ってお金を受け取れる状態を保つことが、一番安全だと思うんです。

まあ70歳、80歳ともなれば今と比べると頭のキレが落ちるのかもしれませんが、それでも人生経験はむしろ増えるので、コンサルタントとして活動できる自信はあります。定年がなく、いつまでも稼げるような状態に自分を置くこと。このことを会社を辞めてから、いや辞める前からずっと考えてきました。

周りからは「安田は安定したサラリーマンの身分を捨てて、不安定な起業をした」と見えるはずですが、私から見るとこれは全く逆で、「サラリーマンは長期的には不安定。何もしないのは怖すぎるから安定を求めて起業した」というのが本当のところです。まあ、どっちが正しいかはまだ、分かりませんけどね。

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