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信用の器 フラスコ

クラウドファンディングをやって改めて思うこと

フラスコ代表、安田です。今、3冊目の出版に向けてクラウドファンディングをやっています。みなさまご支援ありがとうございます。まだまだこれからではありますが、実はクラファンをやるのも3回目で、既に過去最高額を更新するなど知見も増えてきているので、ここらで共有化します。これからやろうという人は、参考にして下さい。

信用とお金は本質的に同じもの

これはもはや当たり前のことではありますが、やはり改めて、信用が全てだなと。信用のない人、支援する側から見たら誰だかわからない人がいくら魅力的なリターンを用意して「支援して下さい!」と叫んだところで、クラファンはうまくはいきません。クラファンは「前払い」なので、そのリターンが履行されるかもわからないわけですから。

では私がこれまで十分な信用を積み重ねてきたかといえば、これは意外かもしれませんが、自分でも少し自信がありません。目の前で困っている人を常に助けてきただろうかと問えば、大いに疑問です。ただフラスコという多くの人の役に立つ仕組みを提供し、無償に近いくらい利益のない状態で何年も運営してきたという自負だけはあります。

今回のクラファンが出だし好調なのは、フラスコも含めた今までの信用を少し、取り崩しているからなのだろうという感覚もあります。最低額が5千円という高い設定であっても支援をして下さる方がこんなにいて、高額のリターンを選んで頂くこともこれだけあるのは、過去の信用蓄積の取り崩しと、これから先に対する期待であろうと理解しています。

クラウド(群衆)なんて存在しない

過去2回と今回を通じて感じているのは、クラウド(群衆)なんて存在しないなということです。もともとクラウドファンディングというのは群衆(雲ではない)から資金調達するという意味であり、プロジェクトが盛り上がるとシェアされたりして多くの人の目に触れ、見知らぬ人から資金が集まる、という言葉の意味合いがあります。

クラファンのセオリーとしては、こういうやり方があります。まず最初は目標額を低めに設定しておいて、知人・友人に声をかけてお金を集めます。そしてその「仲間内」の支援でその目標を達成できそう!と思わせることで盛り上げて見ず知らずの人を巻き込み、達成したら目標額を引き上げてまた盛り上げる、と。

そもそものプロジェクトの目的も、共感を得られるような社会的な意義があるものにすべきで、だからこそ見ず知らずの人を巻き込めるわけです。ただこれ、2年前に最初のクラファンをやったときからずっと違和感があって。知らない人にお金を出してもらうために共感を「強要」するのは、あんまり良いことじゃないなって思うんです。

世間はクラファンに慣れてきている

私自身は共感という感情が人より弱いのか、そういう多くの見知らぬ人のプロジェクトを見てきて、どこかおかしい、これは「共感ポルノ」だと感じていました。クラファンで支援することも何回もありましたが、例外なく知っているお店や知っている人が困っている、あるいは新たな挑戦をしようとしていることに対する応援の意味でした。

最近では、そういう「共感」を打ち出してうまくいっているプロジェクトをほとんど見なくなりました。コロナで大変な飲食店やエンタメ業界などでクラファンが当たり前になり、世間のみなさんがクラファンに慣れてきたのもあるのかもしれません。あるいは見ず知らずの人のどこか似たようなストーリーにいちいち共感するだけの余裕がないのかもしれません。

もしかしたら単に私のフィルターに共感主体のプロジェクトが引っかからなくなっただけかもしれませんが、いずれにしても流れは変わっているなと感じています。正直に、関係性のある方々にお金が必要なので支援して下さいと伝える「正攻法」の方がうまくいくというか、それしかないのではないかと考えているんです。

金額か、人数か。目的を明確にする

クラファンの目的によっては、これを機会に新たな顧客層を拡げる、共犯者を作るといったこともあり得ます。そして一時期流行りました。その場合は前述の、盛り上げてシェアして貰ってリーチを拡げるという従来のやり方になるのでしょう。ただ繰り返しになりますが少なくとも私は、知り合いから頼まれても知らない人を支援する気にはなりません。

たとえ少額であっても、合理的な理由なくお金を払うことはありませんし、世の中的にもそこは大幅に削られているゾーンなのではないかと思います。一方で、知り合いが困っていたらある程度の金額であっても応援できるならしたいという気持ちもあります。これはどちらも、コロナの影響は大きい部分でしょう。

なので私は、特に今回のクラファンでは支援者数を増やすことを最初から諦め、最低金額を5千円としました。そして関係性がある(と私が思っている)人たちにおひとりおひとり、直接メッセージを送って支援をお願いしました。フラスコはポイントもありますし。5千円が高い、と感じる状況の方は今回は無理しないで、本が出たら買ってくれたら良いかなくらいの感覚です。

クラファンは挑戦する人のための仕組み

あなたがもし、困っていたり挑戦しようとしていてお金が必要なら、クラファンをやれば良いと思います。ただつい最近まで通用したセオリーは通用しにくくなっており、ちょっとやり方に工夫は必要です。なのですが、これもやってみて腹落ちするところがありますから、結局「まずはやってみたら?」ということになってしまいます。

今でもクラファンのことを「他人にお金をたかる」「詐欺みたいな行為」などと批判する人はいて、きっと応援してくれると期待した人にそういうことを言われたりしてショックを受けることもあります。でも一方であなたのことを本気で応援してくれる人もたくさんいるはずなので、そこは気持ちを強く持って乗り越えて欲しいです。

いろいろ書きましたが、クラファンは挑戦する人にとって便利な仕組みであることは変わりません。ただこれから挑戦するのだから実績はないにしても、何らかの形で信用を積み重ねていない人が共感だけで突破するのは、なかなかハードルが高くなってきているかもしれません。挑戦するにはまずは周りの人に信用されるところから、ということかもしれませんね。

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